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[ブログ] 市場規模の推計 · リサーチ手法

説明に耐える市場規模の推計をする方法

TAM、SAM、SOMの実践的な求め方。トップダウンとボトムアップの両方で数字を組み立て、差を突き合わせ、質問に耐える出典ログを残します。

Divrite チーム 約 10分で読めます

市場規模の推計が崩れるのは、たいてい最終的な数字が間違っているからではありません。どうやってその数字に至ったのかを誰もたどれないからです。会議で誰かが「その40%はどこから来たの?」と尋ね、「前に見たレポートに」と答えた瞬間から、スライド上のほかの数字もすべて疑われるようになります。

説明に耐える推計とは、他の人が一歩ずつたどり直すことができ、そのうえであなたの計算ではなく前提について議論できる推計です。そのほうがずっと建設的な議論になります。このガイドでは、そこに至る方法を説明します。市場を正確に定義し、2つの独立した方法で数字を組み立て、両者を突き合わせ、すべての入力値を記録しておくことです。

市場を1文で定義する

数字を1つ調べる前に、何を測るのかを書き出します。役に立つ定義は、次の5つの問いに答えています。

  • 誰が買うのか? 消費者、中小企業、病院、政府など。
  • 何を買うのか? 製品やサービスのカテゴリー。自社の言葉ではなく、買い手の言葉で表します。
  • どこで? 国や地域。
  • いつ? 特定の年、または予測なら期間。
  • 何で測るのか? 年間売上、出荷台数、契約者数など。1つに決めます。

例(この記事全体で使う架空の市場):「2026年に、ドイツの独立系歯科医院がクラウド型の医院管理ソフトウェアに支出する年間金額(ユーロ建て)」。

この1文だけで、多くのものが除外されます。病院の歯科部門は対象外です。オンプレミス型のソフトウェアも、医院チェーンも対象外です。後で見つける出典はすべてこの定義と照らし合わせる必要があり、それこそが狙いです。推計の誤りの多くは、異なるものを測った数字を知らないうちに混ぜてしまうことから生まれます。

TAM、SAM、SOMを正しく使う

この3層の枠組みは定番ですが、あいまいに使われがちです。

  • TAM(獲得可能な最大市場) は、定義に当てはまる潜在的な買い手が全員購入した場合の、そのカテゴリーの総需要です。予測ではなく上限です。
  • SAM(サービス提供可能な市場) は、TAMのうち、製品の機能、言語、価格帯、規制上の承認、販売チャネルを考慮して、現時点で実際に提供できる部分です。
  • SOM(実際に獲得できる市場) は、競合や自社の販売能力を考慮して、所定の期間内に現実的に獲得できるSAMのシェアです。

この枠組みを損なう習慣が2つあります。1つ目は、実質的に業界全体を指すTAMです(「医療費は巨大だから、当社のTAMも巨大だ」)。製品がその支出の大部分を対象にできないなら、その数字は何も教えてくれません。2つ目は、根拠のない単なる「SAMの1%」というSOMです。SOMは、具体的なものから組み立てるべきです。自社の営業体制で年間に獲得できる顧客数、類似の新規参入企業が達成したシェア、実際に観測したコンバージョン率などです。

トップダウン:公表された総額から始めて絞り込む

トップダウンのアプローチでは、公表されている大きな数字から始め、定義に合うまでフィルターをかけていきます。

  1. 信頼できる出発点の総額を見つける。 政府統計、規制当局のデータ、業界団体、企業の開示資料は、定義が公開されているため、市場調査会社のプレスリリースよりも出発点として適していることが多いです。
  2. フィルターは1つずつかける。 歯科の例なら、すべての医療機関の診療ソフトウェアへの総支出から始め、歯科医院に絞り、独立系医院に絞り、さらにクラウド型に絞る、という具合です。
  3. 各フィルターを、それぞれの出典で裏づける。 「独立系医院は歯科医院のX%」という前提にも、出発点の総額と同じく引用が必要です。
  4. 定義のずれはすべて記録する。 出発点の数字にハードウェアが含まれている場合や、ドイツではなくドイツ語圏全体が対象の場合は、それを書き留め、明示的に調整します。

トップダウンは速く、他の人がすでに受け入れている数字に推計をつなぎ留められます。弱点は誤差の積み重なりです。それぞれ「だいたい正しい」フィルターを5つ掛け合わせると、大きく外れた数字になることがあります。また、公表された出発点の総額は、あなたの定義と微妙に異なるカテゴリー定義を使っていることがよくあります。

ボトムアップ:買い手、頻度、価格を数える

ボトムアップのアプローチでは、市場をその構成要素から組み立てます。

市場規模 = 買い手の数 × 購入する割合 × 買い手1人あたりの年間購入数量 × 単価

歯科の例で、仕組みを示すためだけに架空の数字を使うと次のようになります。

入力値例示の値実際の値の出どころ
ドイツの独立系歯科医院の数10,000 (架空)歯科医師会や業界団体の名簿、商業登記
クラウド型診療ソフトウェアの利用率30% (架空)業界調査、ベンダーの開示、インタビュー
医院あたりのライセンス数4 (架空)一般的な医院の人員データ、ベンダーの料金プラン
ライセンスあたりの年間価格600ユーロ (架空)公開されている料金ページ、見積もり

掛け合わせると、10,000 × 0.3 × 4 × 600ユーロ = 年間720万ユーロになります。繰り返しますが、これらは作り上げた入力値です。この作業の価値は、各行が誰かに確認してもらえる主張になっており、それを裏づけたり覆したりする証拠の種類を各行が示している点にあります。

ボトムアップの推計は、入力値がそれぞれ具体的なので説明しやすくなります。弱点は網羅性です。ある買い手層を忘れたり、ほとんどの顧客が割引価格で支払っているのに定価を使ったりしやすいのです。

照合し、差を突き合わせる

2つの数字がそろったら、比較します。一致することはまれですが、それ自体が有益な情報です。

大きく離れている場合は、平均をとってはいけません。差を説明する前提を見つけます。よくある原因は次のとおりです。

  • トップダウンの出発点の総額が、あなたより広いカテゴリー定義を使っている。
  • ボトムアップの普及率が、全体ではなくアーリーアダプターを対象にした調査から来ている。
  • 一方は定価を、もう一方は実際の売上を使っている。
  • 一方が含めている層を、もう一方が除外している。

誤っている入力値を直すか、2つの方法がわずかに異なるものを測っている理由を1文で説明します。そのうえで、可能なら3つ目の視点を加えます。

  • 供給側。 そのカテゴリーの主要ベンダーの開示売上を合計し、残りの企業のシェアを推計します。
  • 価値ベース。 製品が各顧客にもたらす節約や収益を推計し、そこから導かれる価格がそれに対して妥当かを確認します。
  • 類似事例。 より良いデータがある隣国や類似カテゴリーを調べ、医院数やGDPなどの妥当な指標で規模を換算します。

異なる証拠に基づく3つのアプローチが近い範囲に収まれば、自信を持って数字を示せます。収まらない場合は、自分の理解のどこが最も弱いかがわかったことになります。ほかの誰かに指摘される前に知っておく価値のあることです。

幅で示し、何が数字を動かすかを示す

単一の精密な数字は、根拠のない確信を招きます。低位、基本、高位のケースを示し、結果を最も大きく動かす前提を2つか3つ挙げてください。上のボトムアップの例では、普及率とライセンス単価がほぼすべてを左右し、医院数は比較的よくわかっています。

簡単な感度分析の表も役立ちます。「普及率が30%ではなく20%なら、市場は3分の1小さくなる」。聞き手にどこを疑えばよいかを伝え、あなたがすでにそれを考えていることも示せます。

出典ログを残す

推計を説明に耐えるものにする最も大切な習慣は、使う数字をすべて、使ったその時点で記録しておくことです。簡単な表で十分です。

項目記録する内容
数値公表されたとおりの値と単位
定義何を数え、何を除いているか(出典自身の言葉で)
期間と地域対象の年や四半期、地域
出典発行元、文書名、ページ番号や表番号、URL
取得日データを取得した日
調整行った換算、インフレ調整、フィルター
確度自分なりの評価と、その理由を1行で

換算する前に、公表されたとおりの数値を記録します。あとで通貨や単位の誤りに気づいたとき、元の値に戻れるようにするためです。二次情報(レポートを引用したニュース記事など)は一次情報と分けて保管し、発表する前に二次情報を一次情報に置き換えるようにしましょう。

発表前のチェックリスト

  • 市場の定義が1文に収まり、すべての入力値がそれと一致している。
  • TAM、SAM、SOMがそれぞれ定義され、SOMは具体的なものに基づいている。
  • 推計を少なくとも2つの独立した方法で組み立て、差を説明している。
  • すべての入力値が、日付とリンクつきで出典ログに記録されている。
  • 結果を幅で示し、主な変動要因を挙げている。
  • 架空の、または仮定した入力値は、出てくるすべての箇所でそのように明記している。

リサーチツールの役割

推計作業の時間の大半は、入力値探しに費やされます。名簿の件数、調査結果、料金ページ、ベンダーの開示、そしてそれぞれの背後にある定義です。リサーチアシスタントが何時間も節約できるのは、この部分です。

Divriteのディープリサーチは、まさにこの段階のために作られています。質問をサブクエスチョンに分け、関係する国の言語で何回かに分けて検索し、報告するすべての数字に出典を付けるので、それぞれを開いてログに書き写せます。上で述べた判断を代わりに行うものではありません。定義を選ぶこと、どのフィルターが妥当かを決めること、2つの方法を突き合わせることは引き続きあなたの仕事であり、聞き手が質問してくるのもその部分です。

タグ 市場規模の推計リサーチ手法戦略
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ひとつの質問から、検証に耐えるリサーチを

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